とりあえず日記

とりあえず日記

生活の記録

6月2日(木)〜16日(木)

6月2日(木)

残業しすぎて疲れている。繁忙期に比べるとそうでもないのだが。

今週で閉業する銭湯を訪ねた。最終日が日曜なので、平日はまだマシかなと思いきやロッカーも満杯、柳行李(やなぎごおり:脱衣かご)も足りないくらいで、浴室のカランも待ちが発生するくらいの超満員。脱衣所も含めると20人くらいいる。正直なところ熱心に通った風呂ではないが、完全に一見というわけでもなく、ここで開かれた落語会にも何度か来た。ここに限らず、いつもは人が少なくて落ち着く風呂(それも経営的には心配になるが)が閉業前に最大瞬間風速を叩き出しているのを見ると、「最後やから」と入りにきた時にはもう「いつも」の風景は見られなくなっていることを実感する。閉業が決まった時点で、日常の風景はどこかへ行ってしまう。柳行李の並ぶ木製のロッカーを眺めながら、なんでこういう場所がどんどんなくなってしまうんやろうか、みたいなところから始まり、自分は一体なんのためにこの人生を使っているのだろうか、次世代(子ども)にバトンを渡すわけでもなく…みたいなことを考えるモードになってしまった。

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6月4日(土)

件の銭湯に結局また来た。脱衣所で、中学生くらいのやんちゃな雰囲気の若者3人組が「店の前で写真撮ってる奴ばっかでうっとうしいわ、どうせ写真撮るだけで入らへんくせに」と悪態ついていた。若き常連を前に、ごめんな写真ばっかり撮って。風呂入るし許してくれと心の中でつぶやいた。これで正真正銘最後の風呂。

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6月6日(月)

昼休み、初めての場所に腰を下ろして食事をとった。人通りが少なく、仕切りで目隠しがされていて椅子と机がある場所。いつもは惰性で自席か食堂で昼食をとっていたが、あまり調子が良くなくトイレの個室に籠ったところで今の場所を思い出した。こういう場所は必要。

夜、件の銭湯で開かれた落語会に来た。噺家の人はすごい。枕から落語にシームレスに移行していく瞬間に圧倒される。喋り一つで場を統べることのすさまじさを感じる。

6月9日(木)

眠くて疲れている。昨日は帰りの電車でなんだか悲しい気持ちになったが、おそらく冷えと疲れと空腹だと思う。このペースで繁忙期に突入すると確実に調子を崩す、ということは10年以上働いていればさすがにわかるので、周りと比べないし無理はしないぞという気持ちに。定時に職場を出て、自転車にまたがって長めの坂を下る。よく覚えていないが解放感で声を出した気がする。人間の生活はこうあるべきだ、みたいなことを。

6月10日(金)

銭湯の水風呂に常連のおっちゃんが飛び込んだ時にしぶきが上がり、それを浴びた近くの若者が反射的に「冷たっ!」と漏らした。少しの間のあと、「冷たかったなぁ、すまんなぁ」「いえいえ」みたいなやりとりがあった。自分はこういうときに「冷たっ!」という言葉は飲み込んで、何事もなかったような顔をするやろうな、と思う。どっかで「何が冷たいやねん、文句あるんか」と言われることに(言われたこともないのに)すこし怯えている。「すまんなぁ」と言ってくれるおっちゃんもいる。

6月11日(土)

午前中に髪を切ってその足でひさびさに図書館に行った。

info1103.stores.jp

冒頭から難しい言葉が並んでおり、おれはこの本に興味あるのか…?と思いながら読み進めていたが「精神疾患」と「権威主義」が2つのキーワードとして挙げられており、どちらも最近関心のある事柄だったのでそこから一気に読んだ。

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6月16日(木)

職場の昼休み。建物の外に出ようとしたら、タイミングが同じになった小綺麗な年配の男性から話しかけられた。「この敷地の中で、この(目の前にあった大きな)木が一番立派かもしれませんね」「我々の人生は瞬きする星のよう、儚いですね」みたいな内容で最初はちょっと面食らってしまったが、最後は職場の同じ者同士にとって当たり障りなく、かつ前向きな話題に着地して、なんて洒落た世間話の仕方だろうかと感銘を受けてしまった。不思議なおじさんだった。

夜、柴田聡子のライブに来た。会場に着いて演奏が始まってから、もっと歌詞をしっかり見てきたらよかったなと思った。柴田聡子の曲は初めて聴く時と歌詞を認識してから聴く時とで印象が変わる。音の響きと意味が乖離していて、使われている言葉と言葉が遠くて、その距離感が好きで聴いているところがある。ライブ中、前の方にいた若い人が貧血っぽい様子で倒れたが、終演後に外で座っていて何事もなさそうで安心した。帰り道、ぬるっとした感触のものを踏んだと思って見たら湿ったティッシュだった。なにか生き物かと思ってぞっとした。

以下は柴田聡子の曲に出てくる、響きが好きな言葉です。

「知る人ぞ知る歯医者の窓」

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「引き寄せ合う光も なつかしい星真似の夢」

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「今日の終わりをなぐさめる 火曜定休の店を」

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「高いレールの上を走る 黄色いふたり乗り自転車」

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「100m9秒で走る、9秒で走る」

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