とりあえず日記

とりあえず日記

生活の記録

4月12日(金)〜13日(土)

4月12日(金)

何も覚えていない、何も記録がない。日記、という体裁をとっているからにはその日にあった出来事や考えたことなどを書くものだろうが、こうなると何も書くことがない。手帳をひらいてこの日の欄を見ると日中に出かけるつもりだったがそれをやめた、ということを思い出す。いま、これを書いているいまは4月14日でもう2日ほどたっており、なので症状のきつかったこの数日のことをリアリティを持って思い出して記述するということができず、かろうじていつ書いたか判然としない手元のメモに残っているのは地の底が抜けたような、存在の根拠がすっかりなくなってしまうような、という走り書きで、そらあんた辛かったよねと声をかけてやるような気持ちで、これを書いている今は疲れが残っているが気分は悪くない。

4月13日(土)

よく眠れた。と思う。午後、今期初の半袖で外に出る。

ナカザワはわりと混み合っていて、ちょっと時間かかってもいいですか、と言われたがものの5分くらいでカレーが提供されたと思う、測ってはいないけれど、美味く、壁のテレビでワイドショーが流れて橋下徹山田邦子の顔、大谷翔平の通訳がお金をどうしたこうした、なんだか別世界の出来事がモニタの中だ。

美味しくいただいて出て、地下鉄に乗り国際会館の改札を抜けると小さなデイリーヤマザキがあり気持ちがうわつく。阪急はローソン、JRはセブンに駆逐されてしまった小さな駅の売店、その情緒が残っており駄菓子が充実していて、小さなボンタンアメの箱を50数円だかで買い、さらにうわついた気持ちで階段を上がるとバスの時間まで25分ほどあり、幸いベンチが空いていて座って待つとぞろぞろと若い、肌つやのよい集団がやってきて何人かは段ボールを抱えている。きっとサークルの合宿かなにかで人里離れたところにでも行くんでしょう、と思いながら目をやると一人だけ輪の中に入れないというか一歩下がったところにたたずんでいる人がひとりいて、ああ、こういう時どうしていいかわからんよねと勝手な共感を投げかけてスマホを取り出したりしまったりしていたらバスが来た。

目的の停留所で降り、事前にメールで指定された場所をなんとなくこっちかなと思いながら歩いていきそれらしき建物が目に入るがそれらしき人はあまりおらず、心細い気持ちでいるとそれらしき人、リュックを背負って帽子を被った20代くらいの男性、を見つけて「農業塾の方ですか」と声をかけるとそのとおりで、向こうも同じ質問をくれたのでそうですと答える。と、さっきまで建物の端の方で本気ロードバイク、あのハンドルのぐいんと曲がった自転車の横で荷物を整えていた本気ロードバイク乗りの格好、空気抵抗を最小化するタイトな服を着たサングラスの女性が話しかけてきてどうやらその方も同じ目的のようだった。
しばらく待ったあと、会議室のようなところに案内され集い、つくだ有機農業塾がスタートした。主宰の渡辺さんは「農民です」と自己紹介をした、かっこいい。「農民です」なんて自己紹介これまで聞いたことあったろうか。会社員です、ある。プログラマです、ある。農家をしています、これはある。農民です、これはなかった。

農業とは何か、有機農業とは何か、有機物とは、肥料とは、土とは何か、そうしたひととおりの講義を受けたあと会議室に集った10数名の自己紹介の時間がもうけられ、作付計画、つまり何を栽培するかを決めることになった。「夏野菜を挙げていきましょうか」という流れになり、きゅうり、なす、ときておれはトマト、と言うつもりが直前の人がトマトと言い、え、ちょっと待って全部言われてしまった、とファイブボンバーのような緊張感のなか自宅のプランターに先日植えた「えんどう豆」と答えると「あ~ちょっと春の野菜ですかね」と黒板の端のほうにいちおう書いてくれた。参加者全員が挙げた夏野菜(+春野菜1)が黒板に書き出され、一部の品目をのぞいて21種類をこれから栽培することになった。
畑に出て土をさわり、鶏糞からできた肥料や畑の土質を調整するための牡蠣のガラ(?)を「み」という道具を使って畑に蒔いていく。案内メールの「こちらで準備するもの」という項目の中に「肥料、み、メジャー、スコップ……」などと表記があり、てっきり誤植かと思っていたられっきとした「み」だった。み、み、きゃりーぱみゅぱみゅアイスの実の曲でこういうのがあった気がする、み、み、と頭の中で唱えながらオレンジ色の「み」 を両手で左右に振りながら粉を蒔いていく。それから苗をつくる、ということで何かの土と何かの土、バーミュなんとかを混ぜて黒い製氷皿みたいなものに混ぜた土を入れてドラゴンボールのナッパが栽培マンを育てるときの要領で土に指を突っ込んで凹ませ、種をいれて土をかぶせて今日の作業は終了。わさび菜を収穫させてもらって袋に詰めて帰った。

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4月10日(水)〜11日(木)

4月10日(水)

昼、漢方内科。診察終わりにヨドバシで文具を買ってトイレに入ると洗面所の鏡の位置にデカデカと電子公告が掲げられており、人が前に立つと鏡になる仕様になっていて、広告がこんなところにまで入り込んでくるなんて世も末やな、と思ったが銭湯にも鏡広告があり、けれどまったくこれらは異質のもので、ヨドバシのこれはおぞましいタイプの鏡広告だ。よく晴れていて、お弁当を本願寺前の広場で広げて食べる。この日も見かけたが自転車を両手離して漕ぐ輩は例外なく全員が男で、必ずドヤ顔をしている。この日のあいつはマクドの袋を抱えて食っていた。人を轢いてしまう前に自損事故を起こして学んでほしい本当に、と文字にするとあまりにも呪詛の力が強く働きそうだが内心いつもそう思っている。

食べ終わり帰路につくがやっぱり京都駅前から自宅までのノンストップ北上自転車はきついものがある。行きはスピードが出るので案外気持ちいいが、帰りは微妙に登っていて、大通りの車の音に耐えられなくなり路地に入ることにした。次からは絶対に五条通りで東に向かってそこからは鴨川を北上すること。途中喫茶店でも図書館でも銭湯でも河原でもとにかくいちど休憩を挟むこと。いっきに帰ろうとしないこと。帰ったら疲れ果ててなんだかイライラしている。夜、不安感が強い。

4月11日(木)

朝、早めに目が覚めて、といっても6:30、ここ数日にしては遅いほうで体を起こして顔を洗ったりして机に向かい日記を更新するとぼんやり眠い。妻との何気ないやり取りの相手の反応、物音とかに敏感になっていてあーこれは調子良くないかもしれないと思っていたら動作も緩慢で頭の靄が増殖していて、そうえば昨日の昼過ぎ、漢方内科からの自転車大移動を終えたあたりからあきらかに疲れていて少しイライラしていて、ふつうならそんな大事でないはずのことが不安になり、予兆はあった気がする。

今日は友人と外に出かけるつもりだったが電話して延期してもらうことにした。申し訳ない。と思いながらこのコンディションで行くほうがあきらかに台無しにしてしまうので仕方ない、よく考えたらここ数日早く目が覚めるわりに睡眠時間は8時間を切っていてほんとうはもう少し寝たい。ぐっすり眠っていたのであまり気づいてなかったが活動量の増加に対して睡眠量が追いついていなかった、寝るのだ、と布団に潜り込みYouTubeに瞑想案内してもらって気づいたら3時間寝ていた。

きのう隙間時間に大垣書店に寄ってドクタースランプ文庫版の1巻と4巻を探したがそもそも取扱がなく、検索したらどの通販サイトも在庫切れ、特に4巻はどこにもなくてメルカリで調べたら「全巻セット」と謳いながら4巻抜けみたいなのはザラにあって、4巻だけプレミア化しているらしく、理由がよくわからない。という話を妻にするとYahoo知恵袋に関連する投稿があり、不適切表現が含まれるため4巻だけ重版されていない説が見つかりそれはさすがに都市伝説では……?と思ったが知る術がない。

夜もとにかく調子が悪く、眠る。

4月9日(火)

しとしとと雨。プランターに植えたスナップエンドウを間引きしたものを水を入れた瓶に挿していたら思いがけずどんどん伸びる。いつもどおりの時間に目覚めたがなんだかだるくてあまり書く気が起こらないので休憩、もういちど寝る。
午後、本を読むぞと気合いを入れて図書館に向かう途中、ビルの看板に「英才児童専門学習会」とある。英才児童。「我が子は英才だわ~」もしくは「我が子を英才にしたいわ~」という親をターゲットにしているのだろうが、ここに通う児童は「おれは英才だ」と思って育つのだろうか。
図書館に着くが落ち着かない。自習室というのがあってここは読書も勉強も仕事もしててOK、という場所なのだが隣の人と席が近くて個別指導塾みたいな雰囲気が漂っていたので出て、図書館の閲覧スペースに行くも、「資料閲覧のためのコーナーです」と釘を刺されているので律儀に適当な資料を机に置いて「資料を閲覧していますよ」というポーズを取ったりするのだがそれも居心地が悪く、目に入る注意書きも飲食・電話禁止と行動を牽制する文言が並んでいて、ああぜったいこれは読んだり書くことに影響する、いかん、と思い結局外に出た。部屋、とりあえず部屋で読むのがいいんじゃないか、何のためにノイズを除去して読んだり書いたりすることに集中できる環境を作っているのだ、使わずしてどうする、と住宅街を少し遠回りして帰っていたら、路地ですれ違った60代ぐらいのご婦人に「このあいだはありがとうございました」とすれちがいざまに挨拶され、私はそのような人に見覚えがなく、あっけにとられて、ああ、はあ……と気のない音を出すことしかできなかった。このあいだ、このあいだ、このあいだ……と唱えながら住宅街を縫っていくがやっぱり心当たりはない。誰かと間違えたのか。いや、このへんの住宅街に住むご婦人が私くらいの年代の男性とどういう接点を持つのだろう。