3月6日（水）
日記休み。
3月7日（木）
本棚ができた。
3月8日（金）
「家に帰ってきたときのほうが花粉症がひどい気がする」と妻がいうので容疑者はエアコンでは、ということになり、そういえば引っ越してから一度も掃除していない。フィルターを外してホコリを吸って水洗いして、排気口というのか温風や冷風の出てくるところのファンみたいなやつが黒くなっていたので、竹串に布を巻き付けたものでぐりぐりやるとけっこうな埃なのかカビなのかが取れて、こんなものを毎日吸っていたのかと思う。その勢いで普段の洗濯物に加えてシーツを洗い、ランドリーに放り込んで乾燥を待つ間にナカザワへ向かう。
久々の営業再開なので開店待ちがいるのではと思ったがそんなことはなく客は自分たちだけで、悩んだ挙げ句オムカレーを注文することにする。この味、この味と舌鼓を打っているとミモザの花束を持ったNくんとSちゃんが入店してきて女将さんに渡した。粋な計らいだ。Nくんは昨日から何を注文するか迷っていたらしく、今の今まで悩んでオムカレー大盛りを注文していた。僕らは普通サイズのオムカレーで、ここの通常カレーはご飯が300gというすごいボリュームなのだが、オムカレーは並の分量なので、午前の労働量を思えば大盛りでもよかった。
川崎麻世やアンジャッシュ児嶋や坂上忍といったおじさんばかりが並ぶ『ぽかぽか』が喫茶店のテレビで流れていて、妻が「鳥山明亡くなったって」と言うので顔を上げるとニュース速報に確かにそう書いてあり、見慣れない病気の名前が漢字で並んでいて、恐らく血管が詰まったようなそういうことだろうと思う。しばらく、えええ、鳥山明、鳥山明が……とぶつぶつ言って、人生で初めて能動的に読みたいと思った漫画は家の近所の神社で開かれた古本市で見つけたやつで、ページを開くといきなり「さあて……どいつからかたづけてやるかな……」と大柄で髭で坊主の男が全身から光のようなものを出しながら凄んでおり、周囲の人間がそれに怯んだ矢先、三つ目の別の坊主が殴られて腕が取れる、というシーンが衝撃的でドラゴンボール19巻だった。そこから少しずつ買い揃えて、他の子どもの多くがそうするように模写しては模写して、友人に見せるともっと描いてと喜ばれて嬉しくなり、描いた絵をあげたりして、当時は漫画家になりたいと思っていた。
