京阪と地下鉄を乗り継ぎ、大阪の本町駅で降りる。いまだに、大阪のこのあたりは地上に出た後の方角がわからない。しかしおれは太陽の位置で判断できるんやで、と道ゆく人の影を見ると二方向に伸びていてビルの反射光で都会だ。影の濃淡を見分けて「西はこっち」と歩き出したら東だったので引き返した。交差点で烏が雀を喰っている。
気になっていた店に立ち寄ったあと、地下鉄で移動するのも味気ないと思いLOOPのキックボードに乗った。重心が高くて少しふらつくが、10分くらいで慣れた。本町通りを西に抜けて松屋町筋を南下する、つもりだったが途中から交通量が多くなり路地に入る。思ったよりスピードが出ず、結局40分で800円くらいかかってしまった。楽しいのは最初の20分くらいだな。
おなかが空き、天王寺駅前の食堂に入るとお兄ちゃん1人？相席でもええか？と聞かれてはいーと答える。4人席で飲んでいる作業着で皺の深いおっちゃんが手招きしてくれたので向かいに座った。すいませーん、というとおばちゃんが少し離れた机を拭きながら注文を聞いてくれる。年配のお客に混じって頼んだ小瓶が運ばれてきてオムライスを頼む。空いてきたらしく、今やったら席移れるけどどうする？と聞かれ、とっさにああいけますよと答えたが向かいのおっちゃんはよかったのだろうか。おれ相席でも全然いけますんで、みたいな見栄を張ってしまった。テレサテンが流れている。会計を済ませ、外に出ると大阪城の天守閣を模したらしきラブホがあり節操がない。
スタンダードブックストアに移動し、柿内正午さんとスズキナオさんのトークイベントに参加する。今のタイミングで参加できてよかった。
会場を後にし、横断歩道にでかい音でゲップするおじさんがいて、アコギで『星になれたら』が聞こえる。いい歌だ。酔い潰れて警察を呼ばれている若者を横目に湯処あべの橋へ。靴を脱ごうとかがんだ拍子に、カバンの脇に刺していた缶から残ったビールがこぼれてシャツが汚れてしまった。頭が働いておらず、洗面台で濡らして拭くと全体的にべちゃべちゃになってしまい、こんなもん入浴の間に乾くわけないやろと思う。バカでかい浴室から上がり、さすがにインナーで出歩くわけにもいかず、タオルで拭くと着れなくはなかったので着た。
淀屋橋で電車を待っているとダブルデッカーが来た。京阪の特急列車には二階建て車両があり、京阪はこれに乗ってなんぼでしょうと常々思っているがこれは回送電車で、乗るべきはふつうの一階建だった。悲しいが気づいてよかった。
帰宅して、数日放置していたシーツを取り替える。シーツは大きいので干すのも取り込むのも大変。何より面倒なのはシーツをとりつけるときで、後回しにすると寝る直前に手をつけることになり心拍数が上がってしまう。
