とりあえず日記

とりあえず日記

生活の記録

5月26日(日)〜28日(火)

5月26日(日)

午後、家を出て四条烏丸から徳正寺へ向かう。保坂和志酒井隆史の対談イベントで、参加費を払うと会場となるお堂のようなスペースはほぼ満員。フライヤーに対談テーマは記されていなかったが、この日は酒井さんが翻訳したデヴィット・グレーバー・デヴィット・エングロウ『万物の黎明』が中心になるようだ。開口一番、保坂さんが「この本はねえ、『金持ちが威張っている社会はおかしい』ということが心に刻まれる本ですね」と力強くほがらかな口調で語り始めると観客に笑いがもれる。「人類史を根本からくつがえす」と帯に銘打たれた、全600ページ以上の、この難しそうな「鈍器本」を、そんなに平易な言葉で、すぱっとひとことで言い表していいんだ、といった安堵にも似た笑いだったように思う。
2人の話は基本的に『万物の黎明』に書かれた内容に関連して進むのだが、ときおり保坂さんから語られる話がとても印象深かった。

「集まりに5分遅刻した人がいたとして、ここには20人いるから、あなたはここにいる100分の時間をダメにしたんですよ、という人がいるでしょう。ああいう人が人類を追い込んでいる」
「ちゃらんぽらんに、真剣な顔をせず、そういう緊張をどうゆるめるか」
「綺麗につじつまを合わせているようなものは、なんか嘘なんですよ」

途中、保坂さんが話の途中で言葉を見失い、「ええと……何を言おうとしていたんだっけ。まあなんでもいいんですよ、何かのために、というわけじゃない」と言っていたのがすごく保坂さんらしいというか、らしいと書くのもおこがましいが、ああ、この人だからああいう小説が書かれたのだな、ということを実感するような発言だった。

全体として、なんか好きなように生きたらいいんやな、と勇気がわくような時間だった。『万物の黎明』はもともと購入予定リストに入っていた本で、これは今読むべきだと思い購入して帰った。ちなみに保坂さんは、この本があまりに分厚いから真ん中で二つに裂いて自分で上巻/下巻に分けたらしい。下巻には上巻冒頭のもくじのコピーもきちんと貼り付けて。今のところ自分はまだ裂いていない。

5月27日(月)

朝、植物園の散歩。園の北西側には野菜が植わっているコーナーがあり、畝を見てみたところいくつか芽が出ているものがあり、これはトマト、これはカボチャでしょう、と一人クイズをしてみたところ見事正解。植物リテラシーが上がっている。まる一日PC作業。

5月28日(火)

大雨。しかし植物園には散歩に行く。カッパを着込んで雨の音を聞き、湿った土の感触を確かめながら歩き、帰ってPC作業の続き。午後、通院。ひとつチャレンジしようと思っていたことがあったが、主治医と相談して自宅に帰り、少し考え直すことにした。

私がこのようであることの必然性を求め、それを正当化する物語をいくらひねり出してもキリがありません。今ここで、何をするかです。今ここで、身体=脳が、どう動くかなのです。身体の根底的な偶然性を肯定すること、それは、無限の反省から抜け出し、個別の問題に有限に取り組むことである。

(千葉雅也『現代思想入門』p.214)

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