朝、出勤前の妻に誘われて喫茶店ウッディタウンへ向かう。通っていた大学はニュータウンのあるエリアで、すぐ近くに同じ名前の街があった、という話をしながらコーヒーとホットドッグを注文する。壁には70年の大阪万博の会場図イラストが飾られていて、どのパビリオンも趣向を凝らした形で、たしかにネットもない時代、あそこに行けば世界各国の文化や最新の技術や宇宙からやってきた石が見られるとなれば行くだろうし、行ったことがステータスにもなっただろうし、なおさら現代でおんなじようなことをやる意味がつくづくわからんな、と思う。太陽の塔のまわりは今は公園で、エキスポランドも当時からあったのかと思ったけれど今はもうエキスポランドはない。
妻が先に出て、ひとり残って『クレーの日記』を少しだけ読んで自分の日記を書いて上賀茂神社を散歩する。修学旅行で来ているらしき4人組が「水みくじ」を川に浸して喜んでいたのだが、少し離れたところで制服を来た女の子が一人泣いていて、そばにいる教師だがタクシーのガイドだかの男性が「そうやんな、おみくじとか、ちょっと怖いんやんな」と慰めている。霊感的なことなのか、家庭の宗教上のことなのか。その子抜きで、4人が集合写真を撮っている。
午後、坂田焼菓子店に自転車で向かう途中、警察に止められて、何かと思えば一時停止違反だという。そういえば止められる少し手前に警官が一人いて、何やらもごもご言ってんなと思っていたがあれは一時停止を呼びかけていたらしく、おれはその注意を聞かず標識も見ずに停止違反をしたということになるらしい。いわゆる「赤切符」を切られて自転車と一緒に全身写真を取られ、図らずも梅湯マガジンvol.2「京都自転車特集」のようになってしまった。警官から色々と説明を受けたが、要は「今回は初犯やからまあ大丈夫やろけどあんまり繰り返したら裁判所から呼ばれて罰金支払ったり講習受けてもらうことになるからせいぜい気をつけや」ということのようだ。赤切符というだけあって赤色の用紙に免許証の情報の写しに加えて電話番号や職場まで書かれて最終的に母音も押すはめになった。今後犯罪を犯したら指紋照合で一発である。今日はこれで以上です、お気をつけてと言われ、めくるめく管理社会が順調に浸透していますねと思いながら自転車を漕いだ。脳内に流れるは舐達麻『FUTURE』のイントロ。BADSAIKUSHの煽りを借りて頭の中で警察に悪態をつく。
